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東京地方裁判所 昭和41年(ワ)948号 判決 1970年9月28日

被告 東京西南信用組合

理由

原告の請求は、本件建物について競売開始決定が行なわれ、競売申立ての記入登記がなされた以上、同建物の敷地の所有者たる被告が建物の所有者たる債務者に対してその収去を求めることは許されないということを前提とするものであること、その主張自体に徴して明らかである。

しかし、建物について競売開始決定に基づく差押えの効力は、その目的たる建物に限り、かつ、建物の所有者たる債務者および債務者から爾後建物の所有権を取得する第三者に対して生ずるにとどまり、別異の物件たる建物の敷地について及ばないのはもとより、権利の濫用等特段の事情のない限り、敷地の所有者が債務者に対して右建物の収去を請求する権利の行使を阻止するものではないと解すべきであり(大審院昭和二・八・六決定、民集六巻一〇号四九〇頁参照)、本件において、原告は、右特段の事情について何らの主張・立証をもなさざるところである。それ故、原告の請求は、すでに、前提そのものにおいて失当たるを免かれないといわなければならない。

よつて、事実関係について審理判断するまでもなく、原告の請求は、理由がないのでこれを棄却

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